(Editor) | 05, Dec, 2017

「最近気になる雑誌」No.03 DOCUMENT

この2018FWシーズンの雑誌は、周年記念号が多い。

今回取り上げるNYのインディペンデント誌『DOCUMENT』は5周年記念号です。他には、フランスの『パープル』は25周年(!)、イギリスの『MAN ABOUT TOWN』は10周年を迎えたのこと。おめでたいですね。ワールドワイドに見ると星の数ほどファッション誌はあるので、毎年誰かの誕生日状態ではありますが。

表紙は山折で2回折り返しという珍しい仕様。巻頭からたくさんのブランドの広告が見れ、日本からはOla Rindalが撮影した《ビューティフルピープル》の広告が入っています。ファッション広告はどれも美しく/面白く、それだけで見応えがありますが、中でも目を引く広告が2つ。《ジャックムス》と《JW アンダーソン》です。《ジャックムス》はまず人が洋服を着ていない、写真のプロップは大胆で、ブランド名は右下に目を凝らさないと発見できない程度。《JW アンダーソン》は、昔の(?)カウボーイの写真に今期特徴的だった刺繍を施したものを複写したのみ。どちらもその思い切りの良さが勢いを感じさせて素適ですね。

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この雑誌らしく、前半にインタビュー、記事、ポートフォリオ、後半にはファッションストーリーがかたまっている構成。中には、先日惜しくも亡くなってしまったアズディン・アライアのインタビューも収録されています。Alxander Furyが書き手をつとめ、今まで語られて来なかったアライアの人生の歩みを解き明かす貴重な内容で、もしかしたら、彼にとってこれが最後のインタビューだったのかもしれません。

著名フォトグラファー/スタイリストが起用されまくりそれぞれ違った色のエディトリアルを作り上げているが、僕が中でも気に入ったのはマリオ・ソレンティによる一本。

 

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ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻による新生《ジルサンダー》のリゾートと18SSコレクションの服をすでに使用。《ジルサンダー》の提案するミニマルなエレガンスと相反するような、逆光が印象的なカラーページや彼らしい重厚なコントラストのモノクロが絡みあい、《ジルサンダー》にロマンティックなイメージを付与する濃ゆいページに仕上がっています。どこか新鮮みを感じられるのは、割と素朴めなモデルのキャスティングが功を奏しているからですかね?

カメラマンが水中に潜って地上を見上げる構図のショットが何枚もあり、ファッション写真界の大御所であるマリオが潜って撮影していると想像するとなんだかニヤける。。(アシスタントが撮ってたりするのかしら)

追記) マリオ・ソレンティの写真は、《ジルサンダー》による新プロジェクト「Interpretation Project」によってTシャツとなるよう。詳しくはこちら

 

巻末には注目の写真家、Stef Mitchell撮影のストーリーも掲載。

 

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連載「最近気になる雑誌」

No.00 序章

No.01 Print 

No.02 HOLIDAY

No.04 PLANT

はリンクからよろしくお願いします。

上岡